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金箔について

金箔の主成分はもちろん金ですが、純金ではなく、金、銀及び銅の合金です。
そして、その用途によって6種類に分類されます。

種類純金純銀純銅
金箔五毛98.91%0.49%0.59%
金箔一号色97.66%1.35%0.97%
金箔二号色96.72%2.60%0.67%
金箔三号色95.79%3.53%0.67%
金箔四号色94.43%4.90%0.66%
金箔三歩色75.53%24.46%-

これらの中で量的に最も多く使われているのが金箔4号色の金合金です。
ここではその金箔4号色を対象に金箔の製造工程を説明していきます。

01. 金合せ
金箔は金の地金をいきなり叩いて薄く伸ばし、箔にするのではなく、まず金合金の地金を作ることから始めます。この工程を「金合せ」といいます。

金、銀、銅を混ぜて炉茶碗(最大量4kg入れることのできる一種のルツボ)に入れ、1,300℃位に熱してから炭素棒で撹拌し、完全に溶解したのを確認したら「やっとこ」と呼ばれるもので炉茶碗を挟んで金流し台に流し込みます。これを冷却したものが「金合金」です。
金合せ
02. 延金
金合せされた合金を帯状に延ばしたものを、通常「延べ」と呼び、それを約6cm角の小片に切断したものを「延金」といいます。
延金
03. 澄打ち(ずみうち)
次に、延金から5つの段階を経て「打上り澄」を作ります。
※各段階で使用する澄打紙と打ち上がった金は、同じ名称で呼ばれます。

(1)小兵(こっぺ)12.6cm角

「小兵」という澄打紙(金沢市二俣産の西の内紙呼ばれる和紙)に、一枚ごとに延金をのせて、約200枚ほど重ねます。その上下にそれぞれ「ふるや」と称する紙(すでに古くなって使えなくなった打紙)を、30枚ほど重ねて当てます。それを「袋革」でおおい、「乳革」で止めます。これを「紙仕込み」といいます。
澄打紙いっぱいに打ち延ばされた延金は「小兵」という名称で呼ばれます。

澄打ち
(2)荒金(あらがね)16.8cm角
次に「荒金」という澄打紙に一枚一枚移し替えます。それを約200枚重ね、、同じように「ふるや」を上下に当てて、荒金用の大きさの袋革と乳革で止めて前と同じ要領で紙一杯に打ち延ばします。
(3)小重(こじゅう)18.3cm角
打ち延ばされた荒金を四分の一に切ります。約6cmになった荒金を18.3cm角の大きさの澄打紙に入れて打ち延ばします。これを「小重」と呼びます。
(4)大重(おおじゅう)21.6cm角
その次に21.6cm角の澄打紙に入れて打ち延ばしたものは、「大重」と呼ばれます。この段階で約百分の三ミリであった延金は約千分の三ミリにまで打ち延ばされています。
(5)仕上り上澄 20.1cm角
大重に打ち延ばされていたものを化粧鋏で整形し、澄打紙の「上り」に移し入れ、艶を消すために再度打ちます。この段階を終了したものを「打上り澄」といいます。
仕上り上澄を30枚重ね、これに20.1cm角の型をあてて折り曲げ、裁包丁で折り目から切ります。こうしてできたものが「仕上り上澄」といいます。仕上り上澄は通常三つ折りにして澄箱に入れられ、澄屋に届けられます。

※「澄」とか「上澄」というのはすべて、この「仕上り上澄」のことを指しています。
※1~3までの工程は「澄屋」と呼ばれるところが専門に行なっています。澄屋で作られた仕上り上澄を、いわゆる金箔に打ち立てる工程は、「箔屋」で行なわれます。このように、金箔の製造は一つの場所で一貫して行なわれるわけではありません。
「箔打紙」(ふるや)
金箔は「仕上り上澄」を延ばして作り上げますが、その良否は打上り上澄を入れて打つのに用いる、いわゆる「箔打紙」の紙質によって大きく左右されます。
箔打紙には、江戸時代以降名声を高めた摂津の名塩紙が、江戸、京都を始め全国的に使われましたが、この名塩紙(あるいは現在では中島紙・二俣紙など)はそのまま使うのではなく箔打紙に加工して用いるため、これらの紙を総称して下地紙と呼んでいます。
下地紙を箔打紙に変える工程は、長い経験とカンを必要とします。箔打紙としての良否は加工作業によって決定しますから、職人ごとに微妙に違った、いろいろな工夫がなされています。
又、箔打紙を箔をのばせなくなるまで使い込んだものの再利用品が、ふるやと呼ばれるあぶらとり紙です。
04. 引き入れ
仕上り上澄を打ち始めるところからが箔屋の仕事のになり、ここから本格的な製箔工程に入ります。

仕上り上澄は約千分の三ミリの厚さで、これをだいたい一万分の一~二ミリ位の薄さに延ばしたものが金箔になります。
仕上り上澄の大きさは21cm角ですが、これを切り箸で(澄切箸ともいいます)11あるいは12の小片に切り分けます。この仕上り上澄の小片は「小間」といいます。
出来上がった小間は「広物帳」と呼ばれる本のような物の間に並べて一時保管をし、打ち立てに着手するとき、ここから打紙に移し入れていきます。
この、小間を打紙の間に入れていく作業を「澄の引き入れ」といいます。
引き入れ
05. 小間打ち(打ち前)
澄の引き入れの済んだ小間紙を約1,700枚重ね、その上下に「女紙(めがみ)」を加え、さらにその上下に「白蓋(しろぶた)」を重ねます。白蓋の上に「当革(あてかわ)」を当てて、捲きしめて糊付けし、その上下をさらに袋革でおおい、糊付けしてある乳革でしっかりと止めます。これで小間打ちの準備は終了です。この作業のことを「打ち前」といいます。
これを機械(電動空気バネ式弓型打箔機)で打ち付けます。機械は、一分間に直径20mmのハンマで700回の上下運動を繰り返します。手で打っていたときと比べて、力・速度が一定しているので、品質にムラがなく仕上りも早いという利点があります。したがって今日では、手による作業は全く行なわれていません。
小間打ち(打ち前)
06. 渡し仕事・抜き仕事
小間打ちで打ち延ばしたものを、今度は「主紙(おもがみ)」に移し替えます。これを「渡し仕事」といいます。さらに主紙で紙一杯にまで打ち上げて、箔打ちが完了します。打ち上がった箔は選別され、品質の良否によってそれぞれ別の広物帳に移し替えられます。これを「抜き仕事」または「ぬきごと」といいます。
100枚の箔を納めた広物帳は、製品として切り揃えるまで、広物帳に納めて一時保管されます。
渡し仕事・抜き仕事
07. 箔移し
最後の工程は、広物帳の箔を製品として切り揃える作業です。この作業全体を「仕上げ移し」といいます。
打ち上がった状態の箔は約16.5cmくらいの大きさですが、これを所定の寸法に切り揃えます。所定の寸法とは、それぞれ10.9cm角、12.7cm角、15.8cm角、21.2cm角の4種類で、この寸法は明治時代以前から少しも変わっていません。
箔の切断機である「枠」を右手に持って、革板上の箔にあて、上下にずらして切ります。切り終わったら金箔のサイズにあわせた切紙(間紙ともいいます)の上に箔をのせます。以上の作業を繰り返して箔を移していきます。この工程でできたものを「縁付き」といいます。

切紙は、岡山県津山特産の楮(こうぞ)で作られた手漉きの和紙で、湿気が入りやすい特徴を持っています。これに挟んでおくと、いつまでおいても紙に箔が付着することがありません。
箔移し
08. 金箔の完成
以上の製法以外にも、断切箔という箔も独自の製法で作られています。また、古い時代の製法道具、科学的データ等、興味のある方はお問い合わせ下さい。